つらい腰の痛みはどう対処?タイプ別の腰痛を和らげる方法

リカバリー体操腰痛

タイプ別の腰痛を和らげる対処法とリカバリー体操

つらい腰痛のときは、動くこともままなりません。そこで、少しでも痛みを和らげたいという方のために、ご自宅でできる腰痛を和らげる方法をご紹介します。腰痛の原因、対処法はさまざまで、どうしたらよいかわからないという方も、腰痛タイプの見極めチェックを行って、ご自分に合った対処法の参考にしてください。

この記事はこんな人に役立ちます

・腰の痛みが和らぐ方法が知りたい
・自分の腰痛のタイプを知りたい

あなたの腰痛はどのタイプ?まずは腰痛タイプをチェック

腰痛にはさまざまなタイプがありますが、ここでは腰痛を3つのタイプに分けて説明します。腰痛のタイプ別の痛みを軽減する方法・対処法を知るためにも、まずはあなたの腰痛がどのタイプなのかチェックしていきましょう。

腰痛のタイプの見極めチェック

腰痛のタイプを見極めるチェック方法を紹介します。

まず事前に、3つの基本チェックを行って、感覚を覚えておきましょう。

3つの基本チェック方法

腰痛タイプチェック体操 基本の3つのチェック
3つの基本チェック

チェック1:前屈(上半身を前に倒します)
チェック2:後屈(両手を腰に当てて、上半身を後ろに倒します)
チェック3:回旋(足を肩幅に開き、両手を伸ばし手の平を合わせ、上半身を左右にねじります)

次に、

◎基本ルーティン
体操を1つ行い→3つのチェック 「前屈」「後屈」「回旋」のしやすさに変化があるかどうかチェックしていきます。

このあと、足首の体操(①②)、膝の体操(③④)、股関節の体操(⑤⑥)、を紹介します。
1つ体操を行ったら基本の3つのチェックをするという方法で進めてみてください。

【足首】①の体操→3つのチェック→②の体操→3つのチェック
【膝】③の体操→3つのチェック→④の体操→3つのチェック
【股関節】⑤の体操→3つのチェック→⑥の体操→3つのチェック

順番にすべて行って、それぞれの体感の評価をメモしていきましょう。体感の評価は、以下の表に従い〇・△・×でつけていきます。

3つの体感の評価

〇 やりやすくなった
△ 変わらない
✕ やりにくくなった

腰痛タイプチェック体操をやってみよう!

実際に腰痛タイプチェックのための体操を行ってみましょう。
6つの体操について、それぞれ3つのチェックを行うため、ペンとメモを準備し、記録しながら行ってみてください。

腰痛タイプチェック体操 記録例

①チェック1 〇
 チェック2 △
 チェック3 〇
②チェック1 △
 チェック2 △
 チェック3 ×
③チェック1 △
 チェック2 〇
 チェック3 ×
④チェック1 △
 チェック2 ×
 チェック3 △
⑤チェック1 △
 チェック2 〇
 チェック3 〇
⑥チェック1 〇
 チェック2 〇
 チェック3 △
①+③+⑤ 〇の合計 = 5②+④+⑥ 〇の合計 =2
腰痛タイプチェック体操のメモの一例

①・③・⑤ と、②・④・⑥ のグループに分けて、
〇の合計数をチェックします。

■足首の体操
①立つまたは、椅子に座って
両足のかかとを同時に10回上げる動きをします
②立つまたは、椅子に座って
両足のつま先を同時に10回上げる動きをします
チェック1 →  〇・△・×
チェック2 →  〇・△・×
チェック3 →  〇・△・×
チェック1 →  〇・△・×
チェック2 →  〇・△・×
チェック3 →  〇・△・×
腰痛タイプチェック体操① 足首
①足首の体操
腰痛タイプチェック体操② 足首
②足首の体操

※「立つ」ときに不安定になる方は、壁や椅子などにつかまって構いません

■膝の体操
③片足で立って、床についていない足側の膝を10回伸ばします(太ももの前を縮める意識で行います)※

左右10回ずつ行い、3つのチェックをします。
④片足で立って、床についていない足側の膝を10回曲げます(膝を真下に向けたまま行いましょう)※

左右10回ずつ行い、3つのチェックをします。
チェック1 →  〇・△・×
チェック2 →  〇・△・×
チェック3 →  〇・△・×
チェック1 →  〇・△・×
チェック2 →  〇・△・×
チェック3 →  〇・△・×
腰痛タイプチェック体操③ 膝
③膝の体操
腰痛タイプチェック体操④ 膝
④膝の体操
■股関節の体操
⑤片足で立って、床についていない足側の太ももを10回上げます(背中を伸ばして無理なく上げられるところまで)※

左右10回ずつ行い、3つのチェックをします。
⑥片足で立って、床についていない足側の膝を90度に曲げたまま、太ももを後ろに蹴ります(お尻の筋肉を引き締める意識で行います)※

左右10回ずつ行い、3つのチェックをします。
チェック1 →  〇・△・×
チェック2 →  〇・△・×
チェック3 →  〇・△・×
チェック1 →  〇・△・×
チェック2 →  〇・△・×
チェック3 →  〇・△・×
腰痛タイプチェック体操⑤ 股関節
⑤股関節の体操
腰痛タイプチェック体操⑥ 股関節
⑥股関節の体操

体感の評価をもとに、腰痛のタイプを見極めよう!

体感の評価の「〇」の数で、腰痛のタイプを見極めます。

①③⑤に〇が多くついた方は、仙腸関節型
②④⑥に〇が多くついた方は、腸腰筋型
どちらも〇の数が同じ方は、両タイプ型

となります。

該当しやすいのはこんな方

日常生活でそれぞれのタイプに該当しやすい状態を紹介します。腰痛の方は、①仙腸関節型②腸腰筋型どちらかのタイプより、③両タイプ型がもっとも多くなっています。在宅ワークが増えてからは、②腸腰筋型タイプが増加傾向にあります。

■腰痛タイプ別 該当しやすいのはこんな方

腰痛タイプ 該当するのは?
①仙腸関節型 ・長時間座っていることができない
・仰向けに寝るのがつらい
②腸腰筋型 ・長時間座っている
・デスクワーク
・歩くとき歩幅が狭い、脚が出しづらい
・ケアをしているのに腰痛が改善しない
③両タイプ型
(仙腸関節+腸腰筋)
・①・②両方に該当する
・からだのケアをほとんどしていない

※「腰痛ワン」利用者様実績をもとに作成

腰痛タイプ①:仙腸関節型とは?

・長時間座っていることができない
・仰向けに寝るのがつらい

という症状が出ている方に該当しがちな、仙腸関節(せんちょうかんせつ)型の腰痛とは、どのような腰痛なのでしょうか?

仙腸関節とは?

仙腸関節とは、骨盤の仙骨(せんこつ)と腸骨(ちょうこつ)をつなぐ関節です。
お尻の真ん中あたりにあります。

ユニット0 仙腸関節

仙腸関節の役割

仙腸関節は、からだにかかる負担を吸収する装置の役割を担っており、地面からの衝撃を吸収するとともに、上半身の体重を支えることができる強靭な仕組みになっています。どんなに小さな動作でも、からだのすべての動きは仙腸関節が起点になっているため、まさにからだの要(かなめ)となる関節です。

仙腸関節型の腰痛とは?

仙腸関節が固まることで腰痛になります。
仙腸関節は、扉の蝶番(ちょうつがい)のようなものです。蝶番は、錆びて固まると扉が開閉しづらくなります。仙腸関節も同じように、放っておくと固まります。

動きの起点になる仙腸関節と腰は近い位置にあるため、影響を受けやすく、動きが制限されることで腰まわりの筋肉が固まり、腰痛になります。

蝶番が油をさすとスムーズに開閉できるようになるように、仙腸関節もケアして、動きを取り戻せば、腰痛も改善していきます。

腰痛タイプ②:腸腰筋型とは?

・長時間座っている
・デスクワーク
・歩くとき歩幅が狭い、脚が出しづらい
・ケアをしているのに腰痛が改善しない
という症状が出ている方が該当しがちな、腸腰筋(ちょうようきん)型の腰痛とは、どのような腰痛なのでしょうか?

腸腰筋とは?

腸腰筋とは、お腹のインナーマッスルの筋肉です。みぞおちのあたりからついていて、股関節を通って、脚の付け根までついている筋肉です。大腰筋(だいようきん)と腸骨筋(ちょうこつきん)の総称です。

ユニット(0)1 腸腰筋

腸腰筋の役割

腸腰筋は、立つ、座る、歩く、しゃがむ、かがむ、階段を上る、下りるなど、生活の中のほとんどの動きの起点になる筋肉です。

腸腰筋型の腰痛とは?

腰痛の原因が、お腹の筋肉にあるのは意外かもしれませんが、お腹のインナーマッスルである腸腰筋が固まることで腰痛になります。
これは、からだの構造上、お腹と腰は、前後で対になって支え合っているため、お互いの影響を受けやすくなることが影響しています。からだの前にある腸腰筋が固まり、働きが低下すると、後ろの腰まわりの筋肉が必要以上に働きかけることで、腰痛になってしまうのです。

デスクワークの方や、外出の機会が少なく座りっぱなしの方は、腸腰筋が収縮して固まりやすくなっています。
反対に、反り腰、出産後の方などは、伸びて固まっているケースも考えられます。

腰痛タイプ③:両タイプ(仙腸関節+腸腰筋)型とは?

これまで見てきた仙腸関節型と腸腰筋型の両方に当てはます両タイプ型の腰痛もあります。腰痛タイプとしては、両タイプ型の人が多い傾向があります。

仙腸関節型の、
・長時間座っていることができない
・仰向けに寝るのがつらい

腸腰筋型の、
・長時間座っている
・デスクワーク
・歩くとき歩幅が狭い、脚が出しづらい
・ケアをしているのに腰痛が改善しない

どちらにも当てはまる項目があり、
・からだのケアをほとんどしていない
人に多いのが両タイプ型です。

両タイプ型の腰痛とは?

両タイプ型の腰痛がなぜもっとも多いのか?
それは仙腸関節と腸腰筋が、からだの中枢で、すべての動きの起点となっているからです。
日常生活のどんな動きでも、仙腸関節と腸腰筋は、働いています。

からだの動きは、水の波紋が広がるように、「中枢」から「末端」にかけて連動しています。からだの動きの起点となる、仙腸関節と腸腰筋の動きが十分でないと、ほかの部分の筋肉や関節の動きにも悪影響がでてしまいます。

じつは、手指や足先といった、からだの「末端」部分の動きですら、「中枢」の仙腸関節と腸腰筋からつながって動いています。

腰痛ワンのプログラムでは、腰痛以外にも、膝痛や、肩こりなどをお持ちの方でも、「中枢」の仙腸関節と腸腰筋に原因はないか?を必ずチェックします。

膝や肩、といった痛みの部分だけにアプローチして、一時的に状態が良くなったとしても、もし仙腸関節や腸腰筋に問題があった場合、そこからまた影響が出て、再発する可能性が高いからです。

腰痛においても、からだの中心部分で、すべての動きの起点となる、仙腸関節と腸腰筋から回復のアプローチを行うことが、重要なのです。

腰痛タイプ①:仙腸関節型の対処法

固まった仙腸関節を「のばす」=ストレッチをかけることで腰痛改善・予防になるため、仙腸関節をのばすリカバリー体操を紹介します。

仙腸関節ストレッチ【椅子編】

椅子に座ってできる、仙腸関節のストレッチ法です。使用する椅子は、膝が90°の角度で座れる高さが目安です。ベッドなどで行っても構いません。

仙腸関節ストレッチ・椅子編

仙腸関節ストレッチ・椅子編

ステップ①
椅子に座ります。

ステップ②
片方の足を床につけ、もう一方の足の外くるぶしより少し上を、床についている足の膝上に置きます(※1)。

椅子で行うリカバリー体操、仙腸関節ストレッチ 

ステップ③
上げている脚の膝をポンポンと手で押します。90秒間行ってください。

椅子で行うリカバリー体操、仙腸関節ストレッチ、膝を押す

ステップ④
反対の脚も同様に②~③を行います。

※注意点:足の甲を膝上に置くと、足首が内反し(内側にかえり)、仙腸関節にストレッチがかかりにくくなります。外くるぶしより少し上の部分が膝上に乗るようにしてください。

椅子で行うリカバリー体操、仙腸関節ストレッチ、間違った足首の位置
足の甲が膝の上に乗っている
椅子で行うリカバリー体操仙腸関節ストレッチ、正しい足首の位置
外くるぶしより少し上が膝の上に乗っている

腰痛予防レベルアップ

上げている脚の膝を手で押しながら、上半身を股関節から前に倒す(※2)とより仙腸関節にストレッチをかけることができます。

椅子で行うリカバリー体操、仙腸関節ストレッチ、腰痛予防レベルアップ、上半身前傾

※2 注意点:背中を丸めるだけだと、仙腸関節へストレッチがかかりにくくなります。背中はまっすぐのままで、股関節から倒す意識で行いましょう。

椅子で行うリカバリー体操、仙腸関節ストレッチ、背中を丸めているのでストレッチがかかっていない

仙腸関節ストレッチ【床編】

仙腸関節をよりストレッチできるのは、椅子より床で行う方法です。より柔軟性が必要になりますので、できない方は無理せず椅子でのストレッチを行い、慣れてきたら床で行いましょう。

仙腸関節ストレッチ・床編

仙腸関節ストレッチ・床編

ステップ①
床にあぐらで座ります。

床で行うリカバリー体操、仙腸関節ストレッチ、あぐらで座る

ステップ②
膝をからだの中心で、まっすぐ縦に重ねるのを目標にからだの中央に近づけて、無理なくできる範囲で、膝同士がもっとも近い状態で、90秒間ストレッチします。

床で行うリカバリー体操、仙腸関節ストレッチ、膝を縦に重ねて90秒

ステップ③
反対も同様に①~②を行います。

腰痛予防レベルアップ

上半身を前に倒す(※)と、より仙腸関節がストレッチされます。

床で行うリカバリー体操、仙腸関節ストレッチ、腰痛予防のレベルアップ、からだを前に倒す

※注意点 1 : 背中を丸めると、ストレッチがかかりにくくなります。背中はまっすぐのままで、股関節から倒す意識で行いましょう。

床で行うリカバリー体操、仙腸関節ストレッチ、背中が丸まっている
床で行うリカバリー体操、仙腸関節ストレッチ、股関節から上半身を倒している

※注意点 2 : 背骨が左右どちらかに傾いたり、歪んでしまったりする方は、筋肉の硬さのある部分が影響しています。そのまま無理に続けると、からだが歪みを記憶してしまいます。背骨がまっすぐの状態でできる、椅子などからはじめて、柔軟性がでてきたらレベルを上げていきましょう。

床で行う仙腸関節ストレッチ 背骨の歪みがある
床で行う仙腸関節ストレッチ 背骨に歪みがない

腰痛タイプ②:腸腰筋型の対処法

「長時間座ったあと、立とうとしたら腰が伸びなかった」という経験はありませんか?これは、じつは腰ではなく腸腰筋が収縮したまま固まっている影響で起こります。デスクワークや、運転される方などは、とくにこの腸腰筋を「のばす」リカバリー体操をこまめに行うことで、腰痛改善・予防に繋がります。

腸腰筋ストレッチ

壁ランジ

ステップ①
壁に両手を当て、片方の足を前に出し、膝を曲げます。

ステップ②
骨盤を立てます。

ステップ③
骨盤の角度をキープしたまま、もう片方の脚を、大きく後ろに引きます。

リカバリ―体操壁ランジ、腸腰筋のストレッチ

ステップ④
脚を交互に変えながら(※2)、90秒間行います。

☝ポイント
骨盤をまっすぐ立てる(※1)ことで、後ろに引いた足側の腸腰筋がストレッチされます。

お腹や、股関節が伸びる感覚があると〇です。

※1 注意点 : 腰が反ってしまうと、腸腰筋にストレッチがかかりにくくなります。骨盤から背骨をまっすぐ立てて行うのがポイントです。

リカバリー体操壁ランジ、腸腰筋ストレッチ、腰が反っていて、ストレッチが正しくかかてっていない

※2 注意点 : 足が近づいていくと、腸腰筋のストレッチがかかりにくくなります。骨盤を立てた状態で、できるだけ足を大きく後ろに引きましょう。

リカバリー体操壁ランジ、腸腰筋ストレッチ、からだが壁に近く、正しくストレッチがかかっていない

腰痛タイプ③:両タイプ(仙腸関節+腸腰筋)型の対処法

両タイプ型の場合は、仙腸関節型のストレッチ、腸腰筋型のストレッチ、両方を行うようにしてください。

痛みが強くなる場合は、適切な対処法ではない可能性がありますので行わないようにしてください。

「○」のついた腰痛タイプチェック体操もおすすめ

また、①~⑥までの腰痛タイプチェック体操(行ったあとにチェック項目の動きがやりやすくなった体操)は、いまのからだに必要な体操です。

「〇」がついた体操を覚えておいて、仕事の後や、1日の終わり、スポーツの後などに行うと、筋膜のバランスが整った状態になります。

①~⑥までの腰痛タイプチェック体操で「×」がついている体操(行ったあとにチェック項目の動きがやりにくくなった体操)は、いまのからだに必要ない体操です。

腰痛タイプチェック体操は、からだの筋膜バランスを整える体操です。

ライフスタイルが変わると、筋膜のバランスも変わるため、その際は改めて必要な①~⑥のチェックを行い、必要な体操を見極めましょう。

腰痛タイプチェック体操で「○」がついた体操を行う

腰痛タイプチェック体操①~⑥で「○」がついた体操を行う。

☝おすすめのタイミング
仕事の合間や終わってから、スポーツの後など。
1日に何回でも行ってOKです。

☝注意点
仕事が変わった、スポーツをはじめた、などライフスタイルが変わるときは、筋膜バランスが変わるため、改めて必要な体操をチェックしましょう。

知っておきたい腰の痛みを和らげる方法

つらい痛みはどんなときも早く和らげたいものです。
痛みが強いと、動くのもつらく、病院に行くことすらできない状態の方も多いと思います。

そこで、根本解決にはならなくても、とにかくいま感じている痛みをどうにか軽減したいという方のために、自宅でできる、痛みを和らげる方法を紹介します。

痛みが軽減!腰に負担がかからない姿勢と寝方

動けずにじっとしていてもつらい場合は、どうしたら腰への負担を減らすことができるのでしょうか?
なるべく腰に負担をかけない姿勢と、寝方を紹介します。

腰に負担がかからない姿勢とは?

痛みが強いときは、立っているのも、座っているのもつらくなります。できれば横になりたい、と思った経験がある方も多いと思いますが、まさに腰にもっとも負担がかからない姿勢は、寝る姿勢です。

じつは、横になる=寝る姿勢は、上半身の腰への負荷や、下半身からの影響から解放され、腰の筋肉・筋膜・関節もゆるみやすい状態になります。
また、足が心臓と同じ高さにあるため、腰の血流もよくなり、回復を助けてくれる体勢です。

強い痛みの場合、ある程度回復するまでは、腰が固まらない程度に寝る(横になって過ごす)ことも、大切な対処法の一つです。

外で仕事をされている方は難しいかもしれませんが、日中少しでも横になれることは腰痛の予防の観点からもよいことです。

寝る(横になる)ことができない場合や、座る姿勢よりも立っている姿勢の方がラクな場合は、立ったままで過ごしましょう。腰への負担を考えると、立つ姿勢は、座る姿勢よりも腰に負担がかかりにくいというデータがあります。

姿勢による腰への負担を表す例として、整形外科・ナッケムソンの研究データ「姿勢の変化による椎間板内圧の変化」が引用されることがよくあります。これは、「立っているときの腰への負担を100%」とした場合に、それぞれの姿勢での腰への負担を数値化したものです。

寝る姿勢や立つ姿勢が負担が少ないことがわかりますね。

姿勢の変化による椎間板内圧の変化(整形外科・ナッケムソンの研究データ)
出典:Nachemson : The lumbar spine an orthopaedic challenge,Spine 1 59-71, 1976

仰向けに寝た状態:25%
立っている姿勢:100%
正しい座り方で座っている状態:140%

強い痛みが回復するまでは、痛みの出にくい寝方で寝る、または、座る時間を短くすることで、腰の痛みや負担を少なくできる姿勢だと言えます。

どうしても座らなければいけない方は、なるべく長時間を避けて、ときどき立ったり、座ったまま動かせるようなら、骨盤を前後に転がしたりすることで、少しでも腰が固まるのを防ぎましょう。

腰に負担がかからない寝方

腰が痛いときに、少しでもラクに寝られる方法を紹介します。

背骨を伸ばすのがつらい方は、背中を丸めたり、膝を曲げたりすると、ラクになります。
仰向けがつらい方は、横向きなどラクな体勢をとりましょう。

ぎっくり腰などで寝るまでの動きがつらい方は、無理をせずゆっくり寝る体勢をとりましょう。

ただし、いくらラクだからといって、長時間寝たままだと筋肉・筋膜が固まり、新たな痛みの原因になりかねません。

寝た状態でも、からだが固まらないように適度に動かせることが理想です。

理想は、寝返りを打てるからだ

寝る姿勢も、人によって、うつ伏せ、仰向け、横向きなど、寝やすい体勢は異なります。睡眠は回復にとても重要なはたらきをするため、睡眠に入りやすい寝方を優先して構いません。しかし、どれも、数時間動かずにいれば、からだの筋肉・筋膜は固まってしまいます。

このため、腰に良い寝方は、寝返りを打つことです。寝返りは、寝ている間もからだを固まりにくくするため、腰への負担を考えるとよい行動です。

しかし、寝返りを打つにも、筋力と柔軟性が必要です。

からだのどこかに硬さや痛みがあり、寝返りを打てないと、数時間の睡眠でさらに筋肉は固まってしまいます。

寝返りを打とうとしても、からだの硬さや痛みで起きてしまったり、睡眠が浅くなったりするケースは、良質な睡眠が得られないため、腰痛の回復も十分ではなくなります。

このため、寝返りを打っても深い睡眠を続けられるからだの柔軟性があることが、腰に負担がかからない状態といえます。

ここで、寝返り必要なからだの柔軟性をキープする、寝たままできるリカバリ―体操を紹介します。

脚倒し

脚倒し

①仰向けに横になり、両膝を揃えて90°に曲げます。手は、脚を倒したときに当たらない位置に軽く広げます。

リカバリー体操足倒し、腰まわりをゆるめて、寝返りが打てるからだに

②そのままできるだけからだの力を抜いて、両脚を揃えたまま、左右に交互に90秒間倒します。

リカバリー体操足倒し、腰まわりをゆるめて、寝返りが打てるからだに 2
リカバリー体操足倒し、腰まわりをゆるめて、寝返りが打てるからだに

☝ポイント その1
力を使わずに、脚の重みを使って倒します。
そうすると、腰まわりの筋肉がゆるみやすくなります。

☝ポイント その2
はじめ突っ張る感覚がある方も、徐々にゆるんできます。

☝おすすめのタイミング
お風呂上がり、寝る前などがおすすめです。腰痛の方は、朝起きてから行うこともおすすめしています。

「リカバリー体操・脚倒し」は、背骨をねじる動きで、腰痛の回復にもおすすめの体操です。またこの体操は、お腹まわりのむくみ解消にもおすすめしています。

睡眠は回復に重要

睡眠中に、からだはもっとも回復します。
個人差はありますが、7~8時間がからだの回復に必要な睡眠時間と言われています。

時間だけではなく、眠りの深さも回復に関係します。深い睡眠が取れれば、からだの回復を促す成長ホルモンが多く分泌され、代謝活動が高まり、体内の組織が修復されやすくなり、腰痛回復も早まります。

しかし、睡眠が浅い時間が続いたり、2時間程度で起きてしまう場合は、からだを回復するための深い睡眠ができていないため、回復しづらくなります。

深い睡眠を得るために

眠りの浅い方は、睡眠の改善も、腰痛改善に大切な要素になります。

日中の活動量を増やす、日光や光を浴びる、寝るときは暗くするといった工夫から、睡眠のリズムを整えましょう。

そして、腰痛の方に多い「冷え」も対策が必要です。夜中に、トイレに何回も起きてしまう方は、からだが冷えている可能性があります。

温かい白湯などを飲む、足首やお腹などを温める、といったようにからだを温めることで、トイレに起きる回数を減らし、深い睡眠を確保することも、じつは腰痛回復に繋がります。

寝る前の飲酒も、あまりおすすめはできません。睡眠が浅くなるだけでなく、からだがは内臓の回復を最優先にするため、肝臓のアルコール分解から行い、筋肉や筋膜などの回復が後回しになってしまうからです。筋肉や筋膜の回復を優先してもらえるように、飲酒は控えましょう。

急な痛みにも効果を発揮。腰痛に効くツボ2選

腰痛の改善には時間がかかることが多いのですが、いますぐ痛みをどうにかしたい!という方のために、比較的効果が早い腰痛改善のツボを紹介します。

委中

「委中(いちゅう)」は、膝の裏の真ん中あたりにあるツボです。座ったり、膝を曲げたりして、ラクな体勢でゆっくりと押しましょう。

大腸愈

「大腸愈(だいちょうゆ)」は、お尻の上の方の出っ張っている骨の一番上を結んだ線の高さにあるツボです。背骨より左右ともに指2本分外側にあります。両手を腰に当て、親指で押しましょう。

経路=筋膜のつながり

経絡(経絡)で繋がるツボ(経穴)を押すことで、繋がりのある問題の場所が良くなるという考え方は、上記でご紹介したリカバリー体操も同様です。

経絡=筋膜の繋がりと考えます。

経絡は、全身に12本、気血(きけつ)が流れる道があると考えられています。

ヒトのからだには12の筋膜ラインが存在し、同じ筋膜で繋がっている筋肉にアプローチすることで、繋がる問題の部分へも回復が見られます。

このため、以前ご紹介した、「リカバリー体操・仙腸関節ほぐし・はがし」では、仙腸関節にアプローチすることで、筋膜で繋がる腰の筋肉も緩み、仙腸関節だけでなく、腰痛も回復が見られます。

☞「リカバリー体操 仙腸関節ほぐし・はがし」の行い方はコチラ

腰痛の再発防止や予防のために大事なこと

ここまで、腰痛のさまざまな対処法を紹介してきました。つらい痛みの原因と対処法はさまざまです。まずは腰痛の原因を正確に知ったうえで、自分の腰痛に必要な解決法を検討することが大切です。ただし、一時的な対処法に頼ったまま、腰痛を繰り返し、知らず知らずのうちに悪化して重症化することのないように、早めに病院で検査することをおすすめします。

☞病院に行くべきかチェックしたい方はコチラの記事へ


そして、腰痛予防のためには、

1. まずは、仙腸関節と腸腰筋が正常に動く状態であること

2. 正しい姿勢と、正しいからだの取り扱い方で日常を過ごすこと

が、重要です。

いくら、仙腸関節・腸腰筋をよい状態にする体操を行っても、関節や筋肉・筋膜に負荷がかかるような、間違った姿勢や日常生活の動作を続けていれば、よい状態をキープすることはむずかしくなります。


紹介した「仙腸関節型」「腸腰筋型」のリカバリー体操や、寝ながらできる「脚倒し」は、からだの動きの起点である要(かなめ)の部分を動きやすくします。このため、腰痛の方だけでなく、すべての方にとって、自分のからだを動きやすい状態で使い続けるために必要な体操です。

毎日行えば、腰痛になりにくいからだの状態をキープできるようになります。ぜひ日常に取り入れて、腰痛改善・予防を目指しましょう。

こんな方は、お問い合わせください

・腰痛に悩まなくていい生活を送りたい
・もう二度と、ぎっくり腰を繰り返したくない
・自分のからだにあった腰痛改善・予防法を知りたい

腰痛ワンのリカバリープログラムでは、腰痛回復のためのリカバリー体操と、腰痛予防のために日常生活で正しい姿勢をキープできるリカバリートレーニングまでを行っています。